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| ■ 本郷新の石彫 |
| 本郷新の石の彫刻は、1954年から1961年までにかたちを単純化した頭像が4点あります。ブロンズのように具象を追求した作品と違い、平面的な表現になっています。 |
「声あり」(1954年)は、聞かず、言わざるでしょうか。右手で片耳をふさぎ、左手で口を覆い、両目はしっかりと見開いて前方を見据えています。タイトルの「声」は、何を意味しているのでしょうか。見る人のおかれた状況によって、いろいろなことを想像させる作品です。5年後には、本郷の代表作「哭」が制作されます。ふたつの作品には、大きな手が共通しています。「声あり」は、「哭」への造形的な伏線となるのかもしれません。 |
「少年」(1954年)と「石の首」(1961年)は、黒御影石の作品です。本郷は御影石の特性を生かし、磨くことによるなめらかな部分とほとんど手を加えない部分とを混在させています。彫る前に塊としての御影石と充分に会話をして、極力手を加えなかったのではないかと思わせる作品です。 石や木は、形のない粘土から自分のイメージするかたちを作り出す塑像と違い、塊としての素材から出発します。おのずと、大きさなど制限されます。本郷は、その点を楽しみながら制作したのではないでしょうか。 |
(2007年5月3日・札幌彫刻美術館 学芸員 井上みどり)
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