太陽の母子像

《太陽の母子》は、1976(昭和51)年に横浜市中区馬車通にアイスクリーム発祥記念像として設置された作品です。

日本におけるアイスクリームは、1869年6月に横浜馬車通りに町田房造が氷水屋を開業し、そこで売られた「あいすくりん」が始まりといわれています。日本アイスクリーム協会は、1964年にこの先駆者、町田房造(まちだふさぞう)を称えて毎年5月9日を「アイスクリームデー」と制定しました。

制作を依頼された本郷は、《太陽の母子》をアイスクリームの原料ミルクから連想して、母乳で子どもを育む「母」のイメージで制作しました。母のひざの上で無邪気に両手を広げ、全体重を母にあずけた幼子と、微笑をたたえ慈しみのまなざしを注ぐ母。母と子の深い絆で結ばれた姿を本郷は表現しています。

本郷は母子像を、さまざまなテーマで制作しました。代表作の一つである《嵐の中の母子像》のような困難に突き進む力強い母子像とは全く違う視点で制作した本作は、穏やかで平和そのものの姿をしています。本郷の表現の幅の広さをあらためて感じさせる作品です。