馬と少年

《馬と少年》は、1965年につくられた7点の連作です。いずれも高さ約20~30㎝の小品で、細部を省略した少年の姿をレリーフ状にし、立体的な馬の首と組合せた作品です。一連の作品は、ほぼ同じ形の横向きの馬の頭部と、いくぶん手の位置を変えた少年を組合せています。人体と動物の組合せは《鳥を抱く女》でも見られ、ほぼ同じ時期に制作しています。

20世紀初頭、いまだ馬そりの走る北海道で生まれ育った本郷にとって、馬は身近な動物でもありました。馬と少年のモティーフは、レリーフにも数点見られ、新たな表現の試みでした。野外彫刻をイメージした馬と少年を組み合わせた素描もありますが、実現には至りませんでした。

小品の連作である《馬と少年》は、本郷の代表作とされるダイナミックで大きな野外彫刻とは違った素朴で愛らしい作品です。1960年代から始めたテラコッタの小品に共通する、造形に対する遊びの感性が溢れています。